スーパーカブ110 インプレッション

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阿武隈川河口に近い亘理駅。2009年ツーリング時に撮影。心配だ…

今般の大震災で被災された東北地方の方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
一昨年にツーリングでお邪魔した際にはあちこちで皆さんの優しいお心遣いに触れ、それを思い出すたびに胸が痛み、責任企業への憤りを禁じえません。
あの時は郡山の東の母畑湖で野宿をした後、リカちゃんキャッスルに寄って仙台~八戸に向かいました。現在、田村市より海側は立ち入れないそうですね。みなさんの故郷に一日も早く平穏な暮らしが戻りますよう、微力ながらお力になりたいと思います。
我々すべての日本人の心はみなさんと共にあります。



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時代に逆行するかのような細い前タイヤ。でもこれが燃費に大きく貢献してるみたい。

バイクの乗り心地をどう感じるかなんて、ライダーによって大きく印象が変わるものであることをご承知の上でお読みください。
ちなみにボクのバイク歴は29年。限定解除してからだと、22年ぐらい。所有したバイクは原付から1200ccまで13台。カブは90カスタム(自爆)、90カスタム(盗難)、リトルカブ(譲渡)に続き4台目です。

2011年3月3日の大安吉日、日中でも10度にとどかないこの時期、朝の寒さはまだまだ厳しい。バイク屋は自宅から徒歩3分なので、押して持って帰ってきた。
さてエンジンをかけようとチョークレバーを探すも、どこにも見当たらない。PGM-FI仕様車にはチョークという機構はないらしい。
メインキーはハンドルロックと兼用になり、場所もレッグシールドの内側に移動した。こりゃ便利だ。
イグニションをONにしてみる。メータパネルに黄色いランプが点き、車体からかすかにモーターのうなるような音が聞こえるが、2~3秒ほどでランプとともに消えた。キーをONにするたび、FIのチェックが行われ、異常があるとこの警告ランプが点きっぱなしになる仕掛けなんだそうだ。
取説には、始動はアクセルを戻した状態で行うとある。セルボタンを押すと、一瞬にして始動した。暖機もできてないのに、ピタッとアイドリングが安定しているのがなんとも不思議だ。試しにキックでもかけてみたが、これも一発でかかる。オイルが下りきっていなければ、キックの重さはリトルカブと変わらないレベル。
またがって1速に入れる。シフトペダルのフィーリングが、リトルカブよりも若干重い。
走り始めて1分。エンジントルクに十分満足する一方で、タイヤ(?)への不安も感じた。

始動性
文句のつけようがありません。“キュルキュルキュル、ブォン…”ではなく、“キ、ブブン”。エンジンが冷えててもこれなんですから、すばらしい。

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大きくて頼もしい感じのヘッドランプ。ピンピカなので、高級感もある?

エンジン性能
カブ90はスロットルの開け始めからドカンと力の出るタイプでしたが、これはもっと面白いです。開けるほどにトルクが盛り上がる感じ。アクセルの開度によってそれをコントロールできます。PGM-FIのおかげでしょうか。他社からもインジェクション仕様のスクーターがでてますが、あれは「なんちゃってインジェクション」だとバイク屋のオヤジが言うとりました。
スムーズな出足と発進加速には、まったく不満はありません。クルマがウザけりゃ、信号でのダッシュもききます。60km/hで流れてる交通なら、追い越しをかけることも可能です。もちろん空荷ならですが。
あと、静かです。古くなったリトルカブはかなりカン高いエンジン音を響かせましたが、110は低くマイルドな音質で、早朝の暖機にも気を遣う心配はないでしょう。
ただ、この静粛性はマイナスにも働くことがあります。ライダーは無意識のうちにエンジン音で車速を計ってたりしますが、メットの風切り音が強い時などはこの感覚が狂わされることもあります。

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サイドカバーは右側のみ。と言っても、余分なスペースはまったく無い。フロントキャリアはオプション設定。取り付けには、外装に穴をあける必要がある。前ブレーキパネルは左側に。

足まわり
久しぶりに乗った17インチホイールの挙動に戸惑いました(笑)。しかし、最初の1ℓを消費する頃には慣れるでしょう。もちろんリトルカブよりも旋回性能は劣りますが、扱いやすさはこっちのほうが上です。低回転でねばるエンジンの特性も手伝って、初心者でも思い通りのラインをトレースすることができますよ。
ただ、何ていうか…、路面に張り付くような接地感というか安心感は薄いです。最初の1分で感じた不安はそれです。横すべりしたり、鳴いたりというような事は特になかったのですが、理由はよくわかりません。
フロントサスペンションはテレスコピック式になりました。大きいギャップを踏むとき、ボトムリンクみたいにピョンピョンはねないのでダンパーの効果はあるみたい。路面の状況はよく伝わるようになりましたが、ストロークは短か目で、乗り心地の向上にはあんまり寄与してないかもしれません。今のところ、ちょい乗りでテレスコの恩恵は感じません。コーナリング時の姿勢がビタッと決まるのはコレのおかげかもしれませんけど。
近頃のスポーツバイクはフロントに重心を集める傾向があるようですが、このバイクはいたってニュートラル。おかげでリアブレーキが十分役目を果たします。

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機体も大きくなったのか、右側に少し張り出してる感じ。

操作感
ウィンカースイッチが左ハンドルに移動し、横スライドのプッシュキャンセル式になりました。慣れるまではボケて右手でスイッチを探したりしますが、この変更は大歓迎です。プッシュのストロークは浅く、フィーリングの良いクリック感があるので、冬用の厚手グローブでも大変操作しやすいです。
逆にブレーキレバーを握った感触はいまいち。アウターワイヤが柔らかいのか、「ぐにゃ~」っという感じ。コントロールしにくいワケではありませんが、エンジン性能が良いだけに、もう少しバランスとってほしかった。
冒頭にも書きましたが、シフトチェンジの操作感はこれまでのものとは大きく違います。リトルカブのように軽くスコンと入るのではなく、(言葉で表現するのは難しいですが)よいしょっと押し込む感じ。まあ、これも一回目の給油までには慣れちゃいますけど、このフィーリングを不満点に挙げる人はいるかもしれない。実際に入りにくいのではなく、「入りにくい感じ」がします。コツはある程度の車速まで引っぱって、力強くスパッと踏み込むこと。
どこかのBBSにギア抜けが話題になってましたが、1000km走行時では一度も抜けませんでした。 オドメータが700kmを超えたあたりからミッションの入りが明らかにスムーズになり、ギア抜けなんてしそうな気配はありませんけど(笑)。

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燃料タンクにはゴムの敷物が。手前に排水溝のようなものが見える。

振動
振動は多めです。カタログを見たとき、グリップエンドのウェイトは不要な飾りやな~と思ってましたが、飾りではなかったです(汗)。アイドリング時にはマフラーがブルブルと震えます。こりゃ、あっちこっちボルトが脱落するんじゃないかと思いました。せっかくテレスコになったのに、これだけハンドルがビビったんじゃもったいない。ステップにもシートにも振動はきますが、まあ、走りながらそんなの気にしてる人もあんまりいないでしょう。
4速55km/hあたりでナンバープレートがビビってうるさいので、これだけ何とか対策しようと思います。カブ90はある回転域でミラーに共振が出て後ろが見えなくなりましたが、110でそういう現象はでません。

燃費
ならし中は、空荷での街乗りと遠出が半々でした。メータ読み1002km走行時での総給油量は16.65ℓ。リッター当たり、60.18km走ったことになります。ウワサには聞いてましたが、ホンマに優秀な燃費でした。50ccリトルカブのツーリング燃費が平均55km/ℓ(フル装備時)だったことを考えると、このパフォーマンスでこの燃費は満足どころか驚異的ですらある。やっぱHONDAすげえわ。

その他
メータパネルのウィンカーランプは緑色です。これはちょっと違和感あるな~。あと、小指一本でかけられるセンタースタンドも(笑)。軽すぎない?
燃料計はそこそこ正確に表示します。カブカスタムの燃料計は1ℓ消費したぐらいから針が下がりはじめますが、それに比べればかなり緻密な動きをします。赤ゾーンに入ると、残り1.25ℓだそうです。カスタム同様、燃料コックはありません。

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リア・ウィンカーはテールランプのハウジングと一体化。外装はぜーんぶプラッチック。

私見
最初の1000kmでPGM-FIの威力をまざまざと見せつけられた、という印象です。
吸気系がブラックボックス化して、「信頼性」の検証を一からやり直すことになりましたが、とりあえずHONDAさんから1台お預かりすることにしました。
これだけ立派に走ってこの燃費なんですから、買って良かったっス。
もちろん機械のことですので、欠点があることを承知で付き合ってやらなければなりません。まあ、長く付き合ってるうちに欠点さえ愛しく思えてくることもあるしね。
ボクは小型車ロングツアラーのベースとしてカブを選びました。過去にはメイトにもバーディーにも乗りましたが、やっぱカブですわ。経験上、今回、他社のは選択肢になかったです。
「良い道具」って、長い目で見ると結局は安い買い物なんですよね。

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レッグシールドの吸気口。このシール、2輪メーカーHONDAの命運を握ってるかも。